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2017/10/05 13:27
9月にはウォルター・ベッカー、そして10月になってトム・ぺティの訃報が伝わるなど、ベテラン・アーチストの死去が続いています。
さびしい今年の秋、ドイツのロック・バンド「カン」の元ベーシストのホルガー・シューカイ(Holger Czukay)も9月に亡くなってしまいました。享年79歳。
ホルガー・シューカイは日本人ヴォーカリストのダモ鈴木が在籍していた伝説のバンド「カン」のオリジナル・メンバーで、ソロ作もたくさんリリースしているサウンド・クリエイターです。短波放送や名も知れぬ音源をテープに取り溜めし、職人のごとくそれを切り貼りして音楽にするという、サンプリング・ミュージックの始祖としても認められています。
日本では、彼の作品がサントリーのウイスキーのCMに使われてなじみがあります。三宅一生がただボートを漕いでいるという映像ですが、そのシンプルさと芸術性は今観ても古くなっていません。というか、パンチパーマにヒゲの三宅一生が超かっこいい。服は当然自分のデザインでしょうね。
曲はセカンド・アルバム「Movies」からの「ペルシアン・ラヴ」です。
サントリーウイスキー角瓶CM 三宅一生 Holger Czukay - Persian Love
曲の全編はこちら。
Holger Czukay - Persian Love
このCMのほかにもホンダのスクーターのCMにも彼の作品が使用されていました。これはホルガーのソロではなく、カンのドラマーのヤキ・リーベツァイトとPILの元ベーシスト、ジャー・ウォブルとのコラボ作の「ハウ・マッチ・アー・ゼイ?」です。
Holger Czukay / Jaki Liebezeit / Jah Wobble - How Much Are They?
ペルシアン・ラヴもハウ・マッチ・アー・ゼイ?もどちらも日本国内盤のシングルが出ているのは驚き。それも時代だったのでしょうね。
このように、彼は他のアーチストとのコラボ作をいくつもリリースしています。
たとえば、U2のジ・エッジ、ユーリズミックス、日本のPHEWなどなど。
そのなかで有名なのは元ジャパンのデヴィッド・シルヴィアンとの2作でしょう。
ふたりの連名で88年「Plight & Premonition」89年「Flux+Mutability」の2作をリリースしています。
当時どんどん音楽の深遠に向かっていき、幽玄の世界のサウンドを作っていたシルヴィアンには、シューカイはグルのような存在だったと思います。どの曲も長い長い。これは20分以上あります。アンビエント~。近所のバリ風健康ランドのBGMにも合いそう。
David Sylvian / Holger Czukay - Mutability
最後に彼のソロのなかで、サウンドが最も「売れ線」でちゃんとPVもある曲をご紹介しましょう。
「クール・イン・ザ・プール」です。「プールに一緒に入って涼しくなろう」という歌詞に本人のアップだけのヴィデオ。
すばらしすぎる。
Holger Czukay - Cool In The Pool
このおじいさん感というかマッド・サイエンティストなかんじもなんともすばらしいです。
どれを聴いてもへんてこな音楽。ぜひお試しを。
ホルガー・シューカイ(カン)の在庫作品
デヴィッド・シルヴィアンの在庫作品
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