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2017/10/26 17:05

線路を挟んであっち側は真っ暗な墓地、こっち側はラブホテルと安飲み屋の町「鶯谷」。鶯谷駅から徒歩1分もないところにある元グランド・キャバレーで階下は社交ダンス場という思いっきり趣のある会場「東京キネマ倶楽部」で今夜はスパークスの来日公演1日目が行われるのです。



いい雰囲気の入り口。



いい感じの大きさ。


キャパは500人くらいか。近いな~。

スパークス応援団長の岸野雄一さんのいる物販コーナーでピクチャー・ディスクを購入。




ライヴはほぼ7時ぴったりにスタートしました。

5人のバンド・メンバーに続いてスパークスのふたりが現れます。ギターふたり、ベースとドラムがひとり、キーボードがロンも含めてふたり。そしてラッセルがヴォーカルです。

全員が白黒のボーダー・シャツで統一しています。ロン兄さんだけ縞模様のネクタイにジャケット。あははは。ラッセルは七分丈のパンツ姿。若い!

最新作「Hippopotamus」からの「What The Hell Is It This Time?」でライヴ開始。おお、ついに待ちに待ったスパークスのライヴが始まったのか~!



感激していると、矢庭に74年作「Propaganda」から表題曲の「Propaganda」「At Home, At Work, At Play」が続きます。近くにいたオールド・ファン(らしき人)が歓声を上げてます。

古い人も新しいも関係なく、いきなりの盛り上がり。今日は良いライヴになるということを既に確信しました。

で、ここまでの3曲でわかったことは今回はバンド・サウンドだということ。ギターがふたりもいるので、音の厚みと広がりがあります。「At Home~」は、スパークスがふたりで来日したときの公演でもやりましたが、そのときは単にマイナー調の曲というイメージしか持てなかったのに、今回はギター・リフのクールなヘヴィ・ロックに聴こえます。

そこから2008年「Exotic Creature Of The Deep」収録の「Good Morning」に続き、そして名曲「When Do I Get To Sing "My Way"」へ。1994年「Gratuitous Sax & Senseless Violins」収録のヒット曲です。

皆が手を上げ、ゆっくりと振ります。多幸感あり~。ラッセルの声は高音部も出ていて調子が良いことが伺えます。一方、お兄さんのロンはいつものとおり虚空というか前方を見つめたままキーボードを無表情で弾いているだけ。ナイス!

次は、ラッセルが「今夜みんなに言いたいことがあったんだけど、忘れてしまったよ。ええと、でもたぶんそれはなんでもないことだったと思う」と題名にかけて「Probably Nothing」。ここから最新アルバムの曲が続き「Missionary Position」「Hippopotamus」と3曲披露しました。

個人的には、良い曲ばかりだけどなんとなく地味なシンセポップ・アルバムとして最新作を聴いてましたが、こうしてバンドによって演奏されるとまた違った味わいです。ギターのおかげでけっこうヘヴィなサウンドに変化した最新曲は、オリジナルよりもかっこよく聴こえました。こっちのほうがいいなあ。

ギターといえば、ふたりのギタリストとベーシストの持つ楽器も、シャツと同じく白というかアイボリーで統一されています。さすが。ドラムは黒。あ、なんとツーバス!

ふと左手のキーボーディストをチェックすると、Nordのシンセなのでコーポレート・カラーの赤。そしてロンの弾くキーボードにはローランドならぬ「Ronald」の文字が。あははは。



話は戻って、お次は1982年の「Angst In My Pants」から「Sherlock Homes」。スロー・テンポの名曲です。個人的にはこのアルバムが大好きなので、収録曲をもっとやって欲しかったけどこの1曲のみでした。ライヴ向きのアップテンポな曲が多いのになあ。

そして再び最新作からの「Scandinavian Design」を経て「Dick Around」へ。2006年リリースの「Hello, Young Lovers」の1曲目です。猫好きのひとはPV必見。

続くはロンのキーボードから始まる「Edith Piaf」。これもPVの映像が秀逸。映像がおもしろいスパークスですが、今回のライヴではバックに映像を流すようなことはありませんでした。でも、それが逆にシンプルでフィジカルなライヴ感をもたらしていたと言ったら贔屓目に見すぎでしょうか。

曲が終わりラッセルの「サンキュー!」のあと、印象的なピアノのイントロが聴こえて歓声が上がります。「Never Turn Back on Mother Earth」。またまた「Propaganda」収録曲でバラードの名曲です。朗々と歌うラッセルの声を聴きながら、ほんと甲斐バンドのあの曲に似ているなあと思っていると、そういえばあの頃はなにしていたっけなあ、ずいぶん時が経ったなあ、などとどんどん雑念が頭に広がっていって…甲斐バンド好きだったなあ。

続くは新作から「I Wish You Were Fun」。ピースフルな曲です。みんなでLa La Laと合唱。ロン以外のバンド・メンバー各々にマイクがあり、全員がバッキング・ヴォーカルをやっていて、それもまたサウンドに厚みを加えていました。ラッセルもそれに助けられているといった感じです。ロンのピアノ・ソロでエンディング。

ライヴを通してロンのキーボードの音色はピアノのときが多く、それ以外の音に変えるのは必要最小限という感じでした。なので、彼の演奏が特定できてよかったのですが、時たま明らかにミスタッチしている音が聴こえます。それは単にミスなのか、遊びなのかは彼の表情からは読むことができませんでした。表情変えないからね。

ロンのピアノの音の余韻も冷めぬうちに、またロンのピアノから始まる「My Baby's Taking Me Home」へ。
2002年リリースの「Lil 'Beethoven」から。歌詞は途中のセリフの部分以外ほぼMy Baby's Taking Me Homeのみ。ラッセルはその連呼だけで曲と観衆を徐々に盛り上げていきます。感動した。今日のライヴの中で最もエモーショナルな瞬間でした。

大歓声の中、印象的なシンセのイントロが。お待ちかねの「The Number One Song in Heaven」です。スローテンポで始まるフル・ヴァージョンではなく、いきなりシンセ・ベースのシーケンスで始まるショート・ヴァージョン。曲の途中でロンがすくっと立ち上がり、ジャケットを脱ぎだします。そして舞台中央までいってダンスを披露!お約束ですがいいんです、これで。やんやの喝采を受けていました。


笑ってる笑ってる。

曲が終わって大盛り上がりの拍手。それを無表情に戻ったロンのピアノのメロディがかき消します。スパークスといったらこれというのは変わりません。「This Town Ain't Big Enough for Both of Us」です。中にはほとんど縦ノリなオーディエンスも。メロディがよくわからない不思議な曲だなあ、と言うのが一番最初に聴いたときの感想でしたが、回数がわからないほど聴いてきた今でもその不思議さは変わりません。でも究極的に良いポップ・チューンであることは理解できたし、たった2分のこの曲にスパークスのエッセンスがあることも今ではわかった気がしています。

興奮冷めやらぬ中、静かに最新作収録の「Life With The Machbeths」で本編終了。全員が一列に並びメンバー紹介。いやあ、ふたり以外はみんな若いなあ。スパークスの息子というより孫といった年齢でしょうか。ラッセルがメンバーをひとりひとり紹介して最後にロン。するとバンド・メンバーは彼に向かって全員平伏。そりゃあもうリヴィング・レジェンドですからね。




しばしの拍手の後、アンコールへ。

まずは、最近の洋楽ファンにも聞き覚えのある「Johnny Delusional」。フランツ・フェルディナンドとのユニット「FFS」の同名のアルバムの1曲目です。

そういえば2年前にFFSは来日したんでしたね。それを観ていないからスパークスはずっと来日していない気がしていました。そこでもスパークスのナンバーは演奏している(はずな)ので、そのときのバンドとしてのダイナミズムが良かったと感じて、今回の単独ツアーでは5人ものバック・メンバーを集めたのでは?と想像しました。

というようなことは後で考えたことで、このアンコールのときは「このライヴがずっと続いてほしい。終わらないで欲しい」と思っていただけ。でも次が最後でした。

74年のアルバム「Kimono My House」から「Amateur Hour」。これもまた印象的なギターのイントロです。「This Town~」では一部だった縦ノリのオーディエンスも、この曲ではみんなが縦にのってます。ギター大活躍のこの曲では、今日のライヴで始めてのギター・ソロが聴けました。そうか、「Kimono My House」のときはギターもいる5人組のバンドだったもんねえ。



そして全員での最後の挨拶。ずっと動き回っていた熱演のラッセルでしたが、それほど疲労した表情ではなく、体力あるなあ、まだまだいけると感心&安心しました。また近いうちに観れるよ、「See You Soon!」って言ってたし。


6階の会場から階段を降りていくと、社交ダンスのフロアが見えたり、どこからか演歌が流れてきたりして、さっきのライヴがまるで幻であったかのように感じました。なんかブレードランナーみたいね。


「彼らはどこに泊まってるのかなあ。やっぱ、六本木とかに飲みに行くんだろうか。まさか鶯谷に繰り出すのか?」などといろいろ考えをめぐらせ、且つライヴの余韻に浸りながら、京浜東北線大宮行きに乗り込みました。いや~、よかったねえ、しかし。


『後日談』
その1:物販コーナーでレコードを買いましたが、翌日だったらサイン付きだった!失敗!欲しかったからいいんだけど。く~。
その2:同じ時期に来日していたBECKが二日目のライヴに観客として来場していた。片や武道館。片や東京キネマ倶楽部。
その3:24日はまったくしゃべらなかったロンが、25日には「マタアイマショー」と言ったらしい。
その4:Ronaldのキーボード。ステッカーがはがれてYAMAHAであることが判明。Rolandじゃなかった!
その5:ライヴの模様はFacebookやTwitterへオフィシャルに即座にアップされた。SNSを目いっぱい使ったツアーであった。
その6:スパークスは六本木でも鶯谷でもなく銀座にいたとのこと。

銀座のレストランにて。


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