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2018/01/09 07:51
「ミュージック・マガジン」1月号のライヴ・スケジュールを見ていると80年代末期にちょっとしたブームになったブルガリアン・ヴォイスの来日公演を発見。しかもたった1日の公演です。
公益財団法人の武蔵野文化事業団のイベントのひとつとのこと。
今でもテレビの主題曲や挿入曲で耳にすることがあるブルガリアン・ヴォイス。この惑星でもっとも美しい音楽であるとの評価もある合唱です。インパクトでかすぎ。怖い。
Le Mystere des voix Bulgares - Messetschinko lio Greilivko
ただし、今回来日する「The Bulgarian Voices Angelite = ブルガリアン・ヴォイセス・アンジェリーテ」はブームを巻き起こした「Le Mystere Des Voix Bulgares =ブルガリア国立放送合唱団」とはちがうのですけど。
The Bulgarian Voices Angelite: Kalimanko Denko
ああ、でもまがいものであるわけがないのは疑いの余地がないので、この機会に体験するのはお勧めです。
さて、このブルガリアン・ヴォイスとイギリスの幽玄サウンドグループ3人組「コクトー・ツインズ」との関わりとは?
スコットランドで結成された女性ヴォーカルのエリザベス・フレイザーを擁する彼らは、ドラムレスのいわゆるポストパンクのバンドです。ゴシック・ロックにカテゴライズされることもありますが、ドリーム・ポップと評される場合もあって、こちらのほうがフィットします。
メジャーでのシングルヒットはありませんでしたが、インディーではリリースするといつも上位に上り、またアルバムはUKのナショナルチャートのベスト10に入ることもありました。
どんなサウンドかというとこんな感じ。これは84年作の「パーリー・デュードロップス・ドロップス」です。
Cocteau Twins - Pearly Dewdrops' Drops
エフェクターのかかったヴォーカルとコーラスにギターにリズムマシーン。これがコクトー・ツインズのサウンドです。
確かにゴシックなテイストですが、地獄を歌うというより天国を歌うというまさにドリーミー・ポップ。でも実は歌詞には何の意味もないそうです。英語でもなさそうだし。
天国といえば、中期の作品でけっこうポップなこれも良い曲です。「ヘヴン・オア・ラスヴェガス」
Cocteau Twins - Heaven Or Las Vegas
それで、ブルガリアン・ヴォイスとコクトー・ツインズとの関係ということですが、コクトー・ツインズの所属していたレーベルである「4AD」が、実はブルガリアン・ヴォイスの仕掛け人なのです。
それまでは、レーベル・オーナーのアイヴォのお眼鏡にかなったアーチストをリリースしていたインディペンデント・レーベルの4ADでしたが、86年に突然「Le Mystere Des Voix Bulgares/神秘の声」をカタログに加えました。元々は75年にスイスでリリースされたものなのですが、このリイシューが徐々にヒットし、ひとつの流行となったのです。
この合唱を聴くと感じるのは、まずは「怖い」ということ。それ以外には「神秘的」とか「荘厳」とか「重厚」とかそういった言葉でしょうか。
私が初めて聴いたときに感じたのは、その不思議さよりもまずはじめに「これってコクトー・ツインズじゃん」ということでした。
どちらの結成が先かは明白。おそらくコクトー・ツインズは彼らからの影響はあるでしょうし、レーベル・オーナーもわかっていたことでしょう。そしてブルガリアン・ヴォイスをリイシューすることがセールスにつながることもけっこう計算尽くであったのでは?もちろん、コクトー・ツインズとブルガリアン・ヴォイスに目をつけたこと自体さすがであることは確かですし、どちらも4ADというレーベルのカラーの範疇からはみ出していないということです。
といっても、そんなことは関係なしに、両方ともすばらしい音楽な「ので、素直に聴けばよいってことですね。
Cocteau Twins - Iceblink Luck
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