イギリスでは確固たる地位を築いたニュー・オーダー。

ヴォーカリストを失ってもバンドを存続させ、ジョイ・ディヴィジョンからカウントすると40年もの活動歴になります。

その活動歴のなかでも紆余曲折は当然あり。その中で一番大きいのはベースのピーター・フックの脱退でしょう。

90年代初めからバンドのメンバー間の不仲が表れはじめます。まあ、それは主にピーター対他のメンバーということですが。

軋轢の火を冷ますべく、メンバーは活動を一旦停止したり、ソロ・プロジェクトをやったりしましたが、2007年にについにピーターが一方的にニュー・オーダーの解散を宣言。脱退ではなく解散です。事実としては、ピーターはバンドから追い出されてしまったわけですが。

これで敵対関係は決定的となり、ピーターはニュー・オーダーから距離を置くことになりました。不仲の原因は結局お金だったりします。

現在、ピーターなしで新メンバーを加えたニュー・オーダーは最新作のすばらしいライヴアルバム「NOMC15」をリリースし、現役の人気バンドとして活躍しています。

New Order - NOMC15

一方、ピーターは、ジョイ・ディヴィジョンや彼が関わってきた楽曲を再生するプロジェクト・バンドである「ピーター・フック＆ザ・ライト」で世界各国をツアー中。2018年にも来日する予定でしたが、それは消滅してしまいました。残念。

さて、それではピーター・フックののジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダー以外での音楽キャリアを振り返ってみましょう。

80年代末、ニュー・オーダーの活動停止期に、ヴォーカル、ギターのバーナード・サムナーが、元スミスのジョニー・マーと「エレクトロニック」を結成。それに対抗するようにピーターは「リヴェンジ（Revenge）」を結成しました。

曲はリヴェンジのファースト・シングル「７リーズンズ」で、穏やかなエレポップ。こんな曲ニュー・オーダーにあったような…という既視感ならぬ既聴感のある曲ですが、まあ良い曲であることは間違いなし。

でも、ほかの曲はもっとクラブ・ミュージック寄りだったり。なんとかしてニュー・オーダーとの差別化を図ろうとするも、どうしても手癖がでてしまう（＝ニュー・オーダー節になってしまう）という状態のリヴェンジ。これはこれでＯＫではありますが。

リヴェンジはアルバムを一枚リリースして活動停止。ピーターは次に、リヴェンジで一緒にやっていたデヴィッド・ポッツを連れて、次のバンド「モナコ（Monaco）」を結成します。1995年のことでした。

曲は「ホワット・ドゥー・ユー・ウォント・フロム・ミー？」

リヴェンジで脱ニュー・オーダーを試みたのに、モナコでは逆にニュー・オーダーに擦り寄った形のサウンドになってしまいました。この曲もヴォーカルが違うニュー・オーダーの曲としか思えません。そんなニュー・オーダー・マナーなこの曲は皮肉にもヒット。イギリスのシングル・チャートで11位を記録。アルバムも11位まで上昇しました。

その後セカンドアルバムをリリースし、2000年まで活動した後、ピーターはニュー・オーダーの活動に復帰します。

そして、ニュー・オーダーの脱退をはさむ形でベーシスト3人のバンド「フリーベース（Freebass）」をやったあと、2010年から現在の「ピーター・フック＆ザ・ライト」になるわけです。

このバンドのテーマは過去作の再演です。

ピーターが関わってきたバンドすべての楽曲がライヴのレパートリーになっており、当然ならがジョイ・ディヴィジョンとニュー・オーダーのナンバーが多くを占めるわけです。

当然この曲（ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート）もやっているわけです。彼のヴォーカルで。

このバンドはライヴ・アルバムを7枚も出していますが、それらのすべてがジョイ・ディヴィジョンかニュー・オーダーの曲の演奏を収録したものです。

当然ニュー・オーダーのほかのメンバーとは揉めましたが、最近演奏許可が出て和解したというニュースもありました。

現在、バンドにはモナコで袂を分かったデヴィット・ポッツが参加し、さらにピーターの息子のジャック・ベイツも参加して、メンバーの変更もほとんどないまま順調に活動しています。このバンドでピーターは精力的に世界中を飛び回っており、今年もたくさんの夏フェスに登場する予定です。

長年バンドをやっているといろいろとごたごたはありますし、彼らは微妙な均衡点にいるわけですが、とりあえず今はあまりゴシップに走らず、ピーターとニュー・オーダーの両方の音楽を楽しもうではありませんか。

Revengeの在庫

Monacoの在庫

Peter Hook & The Lightの在庫

New Orderの在庫

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