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2018/12/02 16:29
真夜中、というか明けがた、NHK-BSプレミアムで音楽番組が放映されているのをご存知ですか。
その番組は『MUST BE UKTV』(マスト・ビー・ユーケーティーヴィー)。
番組内容は、主に70~80年代に放送された「The Tube」などのイギリスの音楽番組を編集して、あの頃のアーチストやバンドの映像を1時間ノンストップで放映するもので、You Tubeにもアップされていない貴重なライヴ映像を観ることができるという、ファンやマニアにありがたい番組です。
どんなアーチストが出演するかは以下のアドレスで確認できますが、あの頃のイギリスの音楽シーンをにぎわせたアーチストが軒並み出演しています。
MUST BE UKTV放送予定
残念なのは、夏あたりから20ほどのコンテンツが繰り返し放映されるようになり、再々々々々々放送になってしまっていることです。まあ、見逃してもまた来月に観ることができるというメリットもありますけど。
マメシバも全放送回を観ましたが、良かったのはジャム、トイドールズなどのパンク系バンドを集めた回でした。勢いあるバンドと速いビートっていいね。
その回で、とても印象的だったバンドが「ガン・クラブ」(The Gun Club)でした。初めて観た、聴いた!
The Gun Club - The Eternity Is Here~Moonlight Motel
この映像↑はMUST BE UKTVと同じものですが、もちろんYou Tubeのこっちのほうが映像が悪いです。
あまりスリムでないヴォーカリストが歌う、ちょっとルースでブルージーな歌。そしてシンプルなロックンロールが新鮮でした。
そしてもうひとつ印象的だったのは、ベースが真っ黒な服装したメイクと髪型がすごいゴスなひとで、しかも女性であったことです。
でも、なんかこのひと見たことあるなあ、既視感あるなあと思ってネットでガン・クラブをネット検索。
やっぱりというか、そういえばというか、ベーシストは「パトリシア・モリスン」(Patricia Morrison)で、後にシスターズ・オブ・マーシーに加入する女性でした。そうかあ、シスターズのヴィデオで何度も観てたから覚えてたんだ!
ポスト・パンクというかポジティヴ・パンクやゴス・ロックの代表格バンドのシスターズ・オブ・マーシーは、アンドリュー・エルドリッチ(Andrew Eldritch)を中心とする真っ黒で硬派なロックバンドですが、86年の再結成時にパトリシアが所属し、見栄えが良くなったのもあってか商業的に成功することになりました。
The Sisters Of Mercy - This Corrosion
かっちょいいね。これ全英シングル・チャート7位ですからね。ちなみにパトリシアはダムドのデイヴ・ヴァニアンの奥さんでもあります。
で、ここで改めてガン・クラブの説明を。
ガン・クラブは、ジェフリー・リー・ピアース(Jeffrey Lee Pierce)を中心に、79年にカリフォルニアで結成されたポスト・パンクバンドです。耽美ロックのコクトーツインズのロビン・ガスリーをプロデューサーに迎えてアルバムを出したりと、アルバムごとに音楽的変化を(ちょっとだけ)していきましたが、基本的にはパンクを出自としたシンプルでストレートなロックを奏でるバンドでした。ジェフリーは96年に脳内出血のため亡くなっています。
マメシバがガン・クラブの映像を観たのは2018年4月でした。その時は印象的だったものの、その後は別にガン・クラブを追うことなく、とりあえずテレビのHDDに録画を残したままになっていました。
で、話は約半年後の11月に飛びます。
11月にシンコーミュージック・エンタテイメントから「Crossroad Presents from PUNK to POST-PUNK」というムックが発売されました。副題は「アーチスト自身の証言で綴るパンク~ポストパンクの真相」で、内容はパンク勃興期からポストパンク黎明期に活躍したアーチストのインタヴュー集です。
当然買いました。熟読です。すると、そのムックの最後のほうのインタヴューで「ロミ・モリ」という名前に目がとまりました。ムックに出てくるアーチストの名前は全員知っていました、そのロミ・モリ以外は。
でも…あれ?また既視感が…
インタヴュー記事の前に経歴が書かれていました。
ROMI MORI
『日本でランナウェイズに憧れてバンドを始めた少女は、やがてパンク・ロックに感化されて渡英。撮影したライヴ写真を気に入られてザ・スミスと接点を持った後、ミュージシャンとしてもガン・クラブに参加し、レコーディングと精力的なツアーを経験した。その後ジーザス・アンド・メリー・チェインのジム・リードとフリーヒートを結成、グラスゴー勢とも交流が深い』
え?そんなすんごい日本人がいるの?知らなかった…
バンドはガン・クラブ! でもガン・クラブのベースはパトリシアでは?
そして再びネット検索。ネットって便利だな。いつものように英語Wikiからチェック。
膨大人数のガン・クラブのPast Membersの欄に、たしかに「Romi Mori」の名が確認できます。パトリシアは82年から85年のベースで、その後がロミさんなのね。
4月にWikiを見たときにRomi Moriの名前を見つけ、なんとなく頭に留め置いていたのだと思います。なので既視感があったと。この人、なんか日本人ぽいな。たぶん森ひろみとかそんな感じ?でも名前をクリックできないようになってるんで、ま、いいかと、その時はそれ以上は調査しなかったのでしょうね。
彼女の履歴はその「Crossroad Presents from PUNK to POST-PUNK」のインタヴューで知ることができますが、買って読んでのお楽しみです。
シンコーミュージックのページ
もちろんネットでも彼女のことはたくさん見つけることができますのでお試しを。ツイッターのフォローもできます。
それにしても、そんなパンクの生き証人のような日本人女性がいたなんて…。
そういう人は、ほかにはDNAのドラマーだったイクエ・モリくらい? うわっと!モリ繋がりだ!
DNA (Ikue Mori, Arto Lindsay, Tim Wright)
ロミ・モリは近年ではフォトグラファーとして来日しているのでチェックです。特にザ・スミスのファン(とマメシバレコードのお客さん)はマスト!
romi mori photography
ロミさん、とりあえずシンコーミュージックかDUブックスから自叙伝かエッセイ集を出しましょう!
で、残念ながら、ガン・クラブの在庫はマメシバにはありませんでしたとさ。
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