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2019/06/16 00:09

今年も梅雨が始まり、湿気と雨で気持ちもどんよりとする毎日です。

こんなときは、からっとした空気の場所でさわやかな音楽でも聴きながらすごしたいものです。そのシチュエーションにうってつけな音楽作品が31年前の1978年6月にCBSソニーからリリースされました。それは、当時の名うてのミュージシャンを多数起用したフュージョン・インストアルバムの「パシフィック」(Pacific)です。



CBSソニーのディレクター橋本伸一氏の企画「サウンド・イメージ・シリーズ」の第1弾で、大物プロデューサー酒井政利のプロデュース。本作は「アイランド・ミュージック」をテーマにしたサウンド・クリエイターたち(細野晴臣・山下達郎・鈴木茂)の曲を収録したオムニバス・アルバムで、このあと78年から83年の間にテーマとクリエイターを変えて計6枚がリリースされました。



参加ミュージシャンをあげると、それこそ今も現役の手練たちの名前ばかりなので割愛。デザインが井上嗣也で、写真が浅井慎平というのも今となっては豪華。

本作は、オリジナル・アルバムには収録されていない山下達郎の作品が収録されているのが貴重で売りだったりしますが、YMOファンにとってはファースト・アルバムの「コズミック・サーフィン」の細野晴臣ソロ・ヴァージョンが収録されているため必聴・必携のアルバムとなっています。

コズミック・サーフィンはYMOファンの好きな曲上位でライヴでの定番曲。YMOのファースト・アルバムに収録されたヴァージョンでは前のめりのビートと高中正義のギターが印象的な曲ですが、パシフィック・ヴァージョンではスクエアなビートとシンセ・ベースのシーケンスが印象的でもろにジョルジオ・モロダー・サウンド。YMOのライヴでは、アレンジがされているものの、どちらかというとパシフィック・ヴァージョンのほうが元になっているような感があります。

ライヴのはこんな感じ。

Yellow Magic Orchestra - Cosmic Surfin'



パシフィック・ヴァージョン制作のメンバーは、パーカッションで浜口茂外也以外は後のYMOの3人のみ。あまりにドラム・マシーン(というよりリズム・ボックス)的なドラムはなんと高橋ユキヒロの生というのが驚き。とにかく、この曲を録音したのは基本的にYMOであったということです。

YMOの結成日というのは、厳密にいつと言ったらいいか難しいですが、3人がファースト・アルバムのレコーディングを開始したのは1978年の7月です。対してパシフィックがリリースされたのは78年の6月21日。なので録音はもっと前ということになります。ちなみに細野がYMOの結成を決意した「はらいそ」の発売日は78年4月25日。つまりコズミック・サーフィンのパシフィック・ヴァージョンはYMOの結成トライアル作品といっていいのではないでしょうか。お試し制作というか。

ですが、ここにソロとYMOのミッシングリンクが存在します。それが「ポリフォニックス」です。



要はシングル用にでっちあげたバンド名で、実質的に細野晴臣です。しかし、B面がパッション・フラワーで鈴木茂の作品なので、細野晴臣/鈴木茂のカップリング・シングルというのが本当です。

アルバムとシングルでアレンジが違うとかそういうのはなく、単にシングル・カットしただけのしろもの。ですが、めったに見かけることはなく、オークションに出ると瞬く間に値が上がっていきます。マニアは見つけたら即買いです。



さて、このCBSソニー「サウンド・イメージ・シリーズ」ですが、第2弾は78年11月に「ニューヨーク」、3弾として79年6月に「エーゲ海」と続いてリリースされました。

New York


the Aegean Sea


第2弾は大村憲司、水谷公生、竹田和夫、松原正樹など8人のギタリストによるニューヨークがテーマのインスト集。第3弾は再び海がテーマで細野晴臣、松任谷正隆、石川鷹彦の作品集となっています。第2弾はともかく、1弾目と3弾はまるで細野版「ナイアガラ・トライアングル」!


その後リリースが途絶え、このシリーズは打ち止めかと思われたましたが、83年に突然復活します。

まず、そのものずばりな「アイランド・ミュージック」と「オフショア」の2枚の編集盤がリリースされ、5月には松任谷正隆、佐藤博、井上鑑というキーボーディスト3人による「シーサイド・ラヴァーズ」という新作が発表されました。しまった、さっきこれは細野版「ナイアガラ・トライアングル」と書きましたが、実は松任谷正隆版だった!

Island Music

Off Shore


編集盤の2枚は最初の3枚からの抜粋なので、なにか得がなさそうな気がしますが、実はここに違ったアルバムからの作品も混入することになります。それは坂本龍一&カクトウギ・セッションの「サマー・ナーヴス」です。

Summer Nerves



サマー・ナーヴスは、79年にリリースされた坂本龍一をリーダーとする企画物バンドの唯一の作品で、当時六本木ピットインで夜な夜なセッションを繰り広げていたメンバーが参加し、そこには高橋ユキヒロ、矢野顕子、大村憲司も含まれ、契約関係の縛りのため変名で渡辺香津美も参加しています。細野は参加していませんが、収録曲の「ニューロニアン・ネットワーク」は細野の作品です。

これもまたCBSソニー橋本伸一氏の企画で、いわばサウンド・イメージ・シリーズ番外編といったところ。なので、サマー・ナーヴスからの作品収録に違和感はありません。収録曲の「カクトウギのテーマ」以外は基本的にレゲエだしね。橋本氏は坂本にボサノバのアルバムを作って欲しいと依頼したのに、出来たのはレゲエのアルバムだったそうな。

ちなみに「カクトウギのテーマ」は全日本プロレスのサブ・テーマ曲でした。でもちょっと洗練され過ぎで、小中学生やプロレス・ファンにはインパクトが少なかったような気がします。やっぱ「イノキボンバイエ」だの「サンライズ」だののような、がさつな高揚感のある曲のほうがプロレスには合っていたと断言できます。

それはさておき「アイランド・ミュージック」には2曲、「オフショア」には1曲、カクトウギセッションの曲が収録されています。山下達郎の2曲と細野版コズミック・サーフィンも収録されているので、この2枚があればOK(なひともいます)。

ですがこの2枚は既に廃盤。それ以外の4枚のオリジナル作は現在も新品でCDが入手可能です。根強い人気のある名コンピレーションということでしょう。

サウンド・イメージ・シリーズの作品は、著作権に厳しいソニーのリリース物なので、YouTubeにはほとんどアップされていません。なのでアナログやCDなどのフィジカルな媒体でぜひ楽しんでいただきたい作品です。なお企画者の橋本氏は2016年に亡くなられてしまいました。でも作品は残りました。ご冥福をお祈りします。


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サウンド・イメージ・シリーズの在庫


坂本龍一&カクトウギセッションの在庫


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