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2019/12/09 00:34
以前ジョイ・ディヴィジョンの「ラヴ・ウィル・テア・アス・アパート」のカバー・ヴァージョンを集めたブログを書きました。
ニューウェイヴの名曲を、ニューウェイヴのバンドがカバーするというのにはなんの違和感もないですが、パンク・ニュー・ウェイヴの仮想敵の位置づけであったオールドウェイヴのミュージシャンの曲にも、ニューウェイヴ系による秀逸なカバーがあったりします。
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その中でも、ニール・ヤングの「オンリー・ラヴ・キャン・ブレーク・ユア・ハート」(Only Love Can Break Your Heart)のカバーには良いものがいくつもあります。
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ニール・ヤングはご存知クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングやバッファロー・スプリングフィールドのメンバーとして有名なカナダのシンガー・ソング・ライターです。
その「オンリー~」は70年リリースのソロ・アルバム「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」に収録。シングル・カットされビルボード・ホット100の33位を記録しました。大ヒットとはなりませんが、セールス以上の名曲として認知されています。
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まずは、そのオリジナル・ヴァージョンを。
Neil Young - Only Love Can Break Your Heart
切なさが器からあふれ出しています。もうびしょびしょだ。
で、どんなニュー・ウェイヴ・バンドがカバーしているかというと、まずはサイキックTVから。あ、ちなみに、今回のブログでの「ニューウェイヴ」とは、広義の意味でのニューウェイヴなので、細かいジャンルやカテゴリー分けは気にしないと言うことで。
サイキックTVは、元スロッビング・グリッスルのジェネシス・P・オリッジを中心に結成したイギリスのユニットです。
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Psychic TV - Only Love Can Break Your Heart
もう、ほんとごく普通のカバー。89年リリースのニール・ヤングのトリビュート・アルバムに収録されたもので、ほかにはソウル・アサイラム、ピクシーズ、ソニック・ユースなどのオルタナのバンドらが参加。フレイミング・リップスの「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」が秀逸だったりします。
ジェネシスはパンク・ムーヴメントをきっかけに創作活動を始めたわけではなく、もっと昔からアーチスト活動していた人で、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ愛を歌ったり、ビーチボーイズをカバーしてヒットさせたりと、とにかく全般的にロックが好きな人であることは確か。89年あたりにはアシッド・ハウスやテクノに傾倒していた彼らですから、ファンからするとこのカバーはどうなん?と思うかもしれませんが、これも彼の一面ということです。
そのサイキックTVのカバーの2年後、イギリスの3人組セイント・エティエンヌが「オンリー~」のカバーをひっさげてデビューしました。
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Saint Etienne - Only Love Can Break Your Heart
ロンドン出身のセイント・エティエンヌのデビュー・シングルで全英39位を記録。アメリカのダンス・クラブ・プレイ・チャートでなんと1位を獲得するという幸先の良いスタートを切りました。
「オンリー~」のカバーと言えばこの曲と言えるくらい、セイント・エティエンヌのヴァージョンは有名かつ人気があります。
さて80年代、90年代から時代は飛んで、2010年代の最近ではどんなアーチストがカバーしているかというと、例えばフローレンス・アンド・ザ・マシーンとか。
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Florence + The Machine - Only Love Can Break Your Heart
本作は2016レコード・ストア・デイにリリースされた限定アナログに収録。
2007年にデビューしたフローレンス・アンド・ザ・マシーンは、フローレンス・ウェルチを中心にしたイギリスのバンドです。遅れて来たゴシック・ロック・バンドかケイト・ブッシュのフォロワーかと思っていたら、あれよあれよと言う間に人気が出て、アルバムもシングルも全英1位を獲得。2015年には(アクシデンタリーにですが)グラストンベリーのヘッドライナーまで務めることに。エモーショナルなヴォーカルが印象的な好カバーだと思います。
日本のアーチストにも「オンリー~」をカバーしている人がいます。ポップ・マエストロの高橋幸宏です。
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高橋幸宏 - Only Love Can Break Your Heart
91年リリース「A Day In The Next Life」に収録。テクノうんぬんはもはや関係なく、日本の音楽職人としての技量が冴えわたっています。ダンディ~
いなたいイメージのニール・ヤングの楽曲が、シンセなどテクノロジーを進化させた楽器でカバーされるというのはけっこう新鮮ですが、実はニール・ヤングのほうでもニューウェイヴな作品をリリースしています。まあ、時代におもねったと見てしまいますが、おそらくは当時の彼自身の音楽の趣味趣向がシンセポップだっただけなのかもしれません。
その問題作は82年リリースのアルバム「TRANS」です。
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もうジャケットからしてそれっぽい。
この作品で、彼はヴォコーダーとシンクラヴィアを多用し、完全にエレクトロ・ポップなサウンドを奏でています。ギターだけはいつものニール・ヤングですけど。曲のタイトルも「コンピューター・エイジ」「トランスフォーマー・マン」などと、近未来的なモチーフが多く、次代が偲ばれます。
Neil Young - Computer Age
さて、それではシメに、隠れたというか忘れ去られたすばらしいカバーをどうぞ。
イギリスの女性6人組ミント・ジュレップスによるカバーです。
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The Mint Juleps - Only Love Can Break Your Heart
86年、ニック・ロウ、エルヴィス・コステロらをリリースしていたスティッフ・レコーズからのリリース。バンドではなくアカペラ・グループです。チャート・データは不明ですが、当時ラジオなどで何度か耳にした覚えがあるのでヨーロッパではヒットしていたのでは?
80年代半ば流行の音作りではありますが、適度にエモーショナルで、透明感さえあるヴォーカルと厚いコーラスがほんとすばらしい。この師走の時期、街角からなにげなく流れてきたら、新しいクリスマス・ソングかと勘違いしそうです。歌詞の内容は全く合っていませんが。
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