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2019/12/26 08:31
もうすぐ2019年が終わってしまう。それはつまり2010年代が終わると言うことです。
そうすると、2010年代この10年のベスト10みたいな特集が様々な分野で編まれます。例えば、小説や映画、音楽など。そんな中、シンセポップ、エレポップのウェブ・サイトである「Modern Synthpop」が2010年代のシンセポップ・アルバム・ベスト100を発表しました。
「Modern Synthpop」とは、アメリカ人のチャック・フレイ(Chuck Frey)が管理しているシンセポップをメインに扱った音楽サイト(というかブログ)で、始めたのは正確にはわからないものの、2000年代から続いているようです。Facebookのページ開設は2011年です。
Modern Synthpop Website
これは元々ひとりのシンセポップ・ファンによって作られたサイトであり、継続期間はそれなりにあるものの決して権威があるものではありません。ですからベスト10だ100だといっても別になにかのお墨付きがあるわけではありません。
ですが、2010年代ベスト選出という呼びかけで、実際に3000強の票が集まったわけです(正確には3205票)
ひやかし・おふざけ・組織票はある程度あるでしょうけれども、この統計に一定の価値や意味はあると言えます。というか、世界中の(熱狂的な)シンセポップ・ファンの意思が反映されているとも言えるので、興味深いことは間違いなしです(管理人はZynicのランクには「熱狂的なファン連」=組織票の存在を暗に認めてます。でもZynicもけっこう良い!)
その投票の結果、1位に選ばれたのはイギリスはブリストル出身1991年結成の4人組「MESH」の2016年作「Looking Skyward」でした。
では、そのアルバム収録の「Kill Your Darlings」をどうぞ
Mesh - Kill Your Darlings
この曲はインダストリアル・ロックの風味が強く、ナイン・インチ・ネイルズあたりとの親和性ありといった感じですが、彼らのほとんどの曲は、シンセポップなテイストがもっと強いものばかりです。本アルバムはドイツのメイン・チャートで12位のヒットを記録しました。
Meshは2013年作「Automation Baby」もベスト2にランクイン。現在のシンセポップ界での彼らのプレゼンスの高さを物語っています。ちなみに「Automation Baby」はドイツで33位まで上昇しました。
お披露目の順序が逆になりましたが、The Best Synthpop Albums of The 2010s のベスト20位のランキングは以下になります。
1. Mesh – Looking Skyward
2. Mesh – Automation Baby
3. VNV Nation – Automatic
4. Assemblage 23 – Bruise
5. Zynic – Blindsided
6. Covenant – Modern Ruin
7. Apoptygma Berzerk – Exit Popularity Contest
8. OMD – The Punishment of Luxury
9. Zynic – Neon Oblivion
10. Camouflage – Grayscale
11. Beborn Beton – A Worthy Compensation
12. OMD – History of Modern
13. DE/VISION – Popgefahr
14. Gary Numan – Savage
15. OMD – English Electric
16. Ladytron – Ladytron
17. Zynic – Fire Walk with Me
18. DE/VISION – 13
19. Iris – Six
20. Iris – Radiant
リスト上位にランクされているのは、概してドイツや北欧で評価とセールスが高いアーチストが多いです。Meshはドイツでは認知されていますが、本国イギリスでは今でも無名に近いです。 え?それにしても知らない名前が多いって? ま、それは各自勉強していただくとして、知っている(オールドな)名前もちらほら確認できます。
ゲイリー・ニューマンの2017年作「Savage」が14位に入ってますね。彼以外でも有名どころでは21位にニュー・オーダーの「Music Complete」、22位にペット・ショップ・ボーイズの「Electric」が入っていたりします。ほかにもイレイジャー、ジョン・フォックス、ブラマンジェなどの名前がベスト100に確認できます。でもデペッシュ・モードの2010年代リリースの2作は入っていない!大ヒットしたのに。 現代の熱狂的シンセポップ・ファンにはデペッシュ・モードは見限られていると言うことでしょうか。
そんな中では、OMD(オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク)の2010年代リリース全3作がベスト20位に選ばれていることに注目です。
OMD (Orchestral Manoeuvres in The Dark)のアンディ・マクラスキーとポール・ハンフリース
2006年の再結成後初のリリース・アルバムである2010年の「History of Modern」が12位、2013年の「English Electric」が14位、2017年リリースの最新作「The Punishment of Luxury」がなんと7位に選ばれています。
History of Modern
English Electric
The Punishment of Luxury
OMDはアンディ・マクラスキーとポール・ハンフリースを中心にした4人組で、79年にデビュー。80年にリリースした「Messages」が全英13位のヒットとなって知られるようになり、次のシングル「Enola Gay」が8位となって人気を確立しました。日本でも「Enola Gay」は「エノラゲイの悲劇」の邦題で知られています。86年には「If You Leave」が全米シングル・チャートの4位を記録。メロディアスで叙情的なシンセ・サウンドで世界的に人気を博し、コンスタントにヒット曲をリリースしましたが、96年に解散となりました。
解散から10年後、ドイツのテレビ番組の企画からのリクエストにより活動再開。ライヴやテレビ出演などのパフォーマンスを続け、2010年に満を持して再結成後初のアルバム「History of Modern」をリリース。全英アルバム・チャート28位とまずまずのスタートを成し遂げます。そして2013年には「English Electric」をリリース(全英12位)、2017年リリースの「The Punishment of Luxury」は全英4位のヒットとなりました。
復活後初のリリース・シングル「If You Want It」をまずはお聴きを。「History of Modern」収録曲です。
OMD - If You Want It
OMDは実は本国イギリスとドイツにおいては一度も人気の陰りがないのです。常にまずまずのヒットを放ち、セールスの凋落もなくここまで来ています。なので、10年のブランクがあったものの、シンセポップ・ファンにとっては彼らは普通に現役の人気バンドであると認識されているのです。
次にThe Punishment of Luxury収録のシングル「Isotype」を。
OMD - Isotype
すごい、既視感ならぬ既聴感ありあり。昔から知ってるOMDのサウンドだけでなく、さまざまな過去のシンセポップ・サウンドのエッセンスに満ちています。
そしてOMDは2019年がデビュー40周年ということで、ツアーも精力的に行われており、連日その様子がSNSで発信・共有されています。どの会場もそれなりに大きく、ほとんどがソールドアウト。また、40周年を記念したライヴ・アルバムやコンピレーション・アルバムが色々なタイプ(CDやLPやボックスセット)でこれでもかと大量にリリースされています。オフィシャルTシャツのヴァリエーションもすごい。
日本ではあまり話題に上がらないバンドですが、2020年にはそろそろ彼らを招聘するところが出てくるのではないかと睨んでるのですが、どうでしょうか。
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